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佐藤琢磨Fan’sBlog
F1ドライバー佐藤琢磨を熱く応援するブログです!その他F1界の情報についても色々語っていきます。
Virgin Atlantic TAKUMA Club Karting レポート
去る8月9日、琢磨クラブ初の参加型イベント「Virgin Atlantic TAKUMA Club Karting」に行ってまいりました。
開催場所は富士スピードウェイのカートコース。
周辺道路ではひっきりなしに工事用大型車両が往来し、またこの日の入口に指定された東ゲートでも同様の車両が頻繁に出入りを繰り返していました。
昨年、なにより観戦客から多大な非難を浴びることとなった周辺施設の補完とインフラの整備について、一応のところは公言通りに急ピッチで作業を進めているといったところなのでしょう。
これにグランプリ運営に関するソフト面がどう噛み合うかが最終的な胆になるわけですが、2008年日本GPまで2ヵ月となった折り、これらの対策が口先と浪費に終わらず、観戦客が本当に楽しめるモノに繋がってくれることを切に願うばかりです。
TSKart006

さて、のっけから話がそれてしまいましたが、先にも述べたように今回の催しは毎年シーズンオフに東京と大阪で開催されている「TAKUMA Club Meeting」とは趣を異にした、参加型カート走行会とファンクラブミーティグを組み合わせた、琢磨クラブとしても初となる試み。
確かに、琢磨の在籍していた我らがスーパーアグリF1チームが撤退したことによって、F1シーズン中にもかかわらず本来ならけして有り得ないこの時期に、本イベントが開催されたというのはなんとも皮肉な話ではあります。
が、しかし何よりも久しぶりに琢磨に会える、またミーティングでは現況などを本人の口から直接に聞かせてくれるに違いないということで、運よく参加権を得られたもので気合を入れて参加してまいりました。

現地到着時の会場の天候は晴れ。
しかし富士山麓に位置する富士スピードウェイらしく、周囲には積乱雲も散見されそれが唯一の気がかり。
会場に到着してまず目に飛び込んできたのは、今シーズン用に制作された琢磨応援横断幕「SIDE BY SIDE FOR TAKUMA」バージョン。
この横断幕はちょうど1週間前の8月2日(一部は7月26日)に、関東、信州、中部、関西の4地区において各パートを分担し、有志の方々の手により手作りで制作された渾身の大横断幕です。
今回この富士スピードウェイカートコースにおいて初めて4つのパートがひとつに繋がり、皆の前にお目見えしたというわけです。
関東地区の制作(一番右のパート)にあたっては私も参加させていただいたものであるだけに、こうして四位一体となった様はまさに壮観であり感動でした。
琢磨にも、またF1界全体にもこのメッセージが届くことを信じて疑いません。
SBST-Flag001

さてさて、いよいよイベントです。
まずは12時30分よりカートドライバーに当選した人向けのブリーフィング。
参集したカートドライバーの後方を観戦者が取り囲む格好となった会場に、本日の主役である琢磨が登場して「Virgin Atlantic TAKUMA Club Karting」の開幕です。
琢磨がマイクを取り、今回の会の趣旨を説明するなどひととおりの挨拶をした後、係の方からカートに関する一連の注意事項等の説明があってブリーフィングを終了。
最後に琢磨より特別の注意事項があるとのことで再びマイクを持ちます。
「今日はスーパーアグリばりにスペアがありませんので、みんなカートをSA05だと思っていたわって乗ってくださいね(笑)」
琢磨流の、いや琢磨でなければ言えないユーモア溢れる安全を促す言葉とともに、会場は拍手と笑いで一気に和み、カート走行へと会は進みいよいよ慣熟走行の開始です。
慣熟走行は11台のカートを用いてA〜Eの5組に分かれ、琢磨先導のもとに行われます。
ただここで単なる先導走行にしてしまうのではなく、2人乗用カートを用いて観戦者から抽選で同乗体験走行をやってしまうあたりが、常にファンサービスを最優先に考えてくれる琢磨ならでは。
「琢磨にファンが多いわけだなぁ」とあらためて感心しきりでした。
TSKart004

ところがC組がコースインしていく辺りから、会場に到着した当初より気になっていた怪しげな雷雲が騒がしくなってきました。
案の定D組の面々がピットに戻ってきところで雨脚が速まり、落雷の危険性が高まったということで参加者に一時退避が勧告され、カート走行会は中断を余儀なくされました。
しかし安全優先で一時中断を早期に決定したのは正解で、後に聞いた話によれば敷地内に落雷があったという情報もあり、雷とはいえ山の天気の移り変わりの速さを再認識するとともに、富士スピードウェイが山岳地帯に位置するサーキットであることをあらためて実感した次第でした。
さて、鳴りやまぬ雷鳴と刻々と過ぎ去る時間との睨みあいにも飽きてきたころに、事務局は当初15時から予定していたファンクラブミーティングの予定を繰り上げて開催することを決定。
参加者全員がピットエリア内にあるクリスタルルームに場所を移します。
TAKart002

待つこと暫し、14時50分になると琢磨が颯爽と会場に登場。
進行役の方がファンクラブミーティングに急遽移行した経緯を説明し、琢磨に話を振ると「僕はまだ諦めてないんだよね」と開口一番。
会場から歓声があがり「空も明るくなってきたし日没までには絶対雨はあがるよ!耐久レースだけでもやりましょう!」と琢磨が続けると、先ほどまで疲れた表情も見られていた会場内は一気に盛り上がり、本当に天候が回復することを願いつつ、ミーティングの幕が開きました。
まずは琢磨からの挨拶ということで近況報告がなされ、今はF1をほとんど見ていないこと、またこのオフには日本でリラックスした時間を過ごしながらも、いつでもF1のフィールドに戻れるようトレーニングを続けていたことなどが語られました。
続いて質問コーナーへと移り、既にご覧になられた方も多いのではないかと思いますが、まずはこの8月からあらたにオンエアされている「Gillette Fusion 5+1」の、CMに関する裏話を教えて欲しいというお願いから。
何事においても真剣に、かつ全力投球するのが琢磨流であるのはファンならずとも周知の事実。
今回のCM製作にあたっても例外ではなかったようで、あの短いCMのために何度も打ち合わせを繰り返して「こういうのはできるできない、ここはこうしようああしよう」と詳細を細かく詰めていった結果が、例のCMなのだそうです。
私たちが聞いていると普段の琢磨とのギャップに少々照れてしまうようなセリフも、今までのCMとは感覚が新鮮でやりやすかったことや、撮影ヘリまで飛ばしたスーパーH2OのCMとは違って狭く暗い小部屋で撮影したので戸惑ったこと、またホンダのCMのように難しいセリフではなく助かったことなど、琢磨らしいユーモア溢れる表現を織り交ぜて裏話を公開してくれました。

次に続く質問といえば・・・そうですね。
あれしかありません。
やっぱりというべきか、当然というべきか、琢磨の現況と今後についてが次の質問です。
これを受けて琢磨は本当に申し訳なさそうに、しかし鋭い眼光を放ちながら力強く口を開きます。
「まだ公表できるような話は何もありません。報告できるような変化は何もありません。他のカテゴリーからのオファーも既にご存知のとおりあるにはありますが、こちらの事情をお伝えして丁重にお断りしています。僕はまだF1に戻ることをまったく諦めていません!」
メディアを通じた文字情報ではなく、今初めて琢磨の口から直接発せられた現況報告。
「日本に来てから既に1ヵ月近く経つけれど、既に数チームと交渉とまではいかないが実際に話をしているし、マネージャーのアンドリューが様々な話をしてくれている。具体化しているものではないけれど、今こうしている間にもアンドリューが話を進めてくれているし、自分としては来年の開幕直前まで2009年のF1への参戦を諦めることはありません。」
そして続けます。
「100%可能性が潰えるまで、あくまでもF1にこだわり続けていきます!」と。
会場のファンは一言一句も聞き漏らすまいと身を乗り出して聞き入り、また言葉だけではなく実際に琢磨の表情から溢れ出る「諦めない」というメッセージを受け止めようと、皆必死なようにも思われました。
「琢磨は諦めない!」
ならば「私たちも諦めない!」
そういう思いがファンと見事に融合した瞬間だったと思います。
今回のミーティングは、先にも述べた「TAKUMA Club Meeting」を知る者には少々短い30分程度というものでしたが、また聞かれた情報に皆が歓声をあげるような目新しい情報があったわけではありませんでしたが、それでも琢磨を目の前にし、真剣な眼差しを感じながら発せられる言葉を直接肌で感じることができたのは、ファンとしてとても重要な瞬間でありました。
短い時間ながら琢磨とファンの一体感を確認しあったその時、空が明るさを取り戻して事務局より「カート走行会再開」が宣言されたのでした。

さぁいよいよ待ちに待ったカート走行会です。
当初は「慣熟走行→フリー走行1→フリー走行2→スプリントレース→耐久レース」という、実際のレースさながらの本格的なスケジュールだったのですが、前述の雷雨のためにプログラムを省略。
お預けとなっていたE組の慣熟走行の後、耐久レースのみを行うことことが決定されました。
耐久レースは車番でチーム分けがなされ、11チームを編成。
予選なしの車番順でグリッドが決められ、誰が何番目に何分、何周乗るかなどの戦略はすべてチームに一任されて30分間で争うというもの。
琢磨はというと、慣熟走行時同様に2人乗用カートで同乗走行を実施しつつ、耐久レースをやっている中を周回するという趣向です。
TSKart005

各社がグリッドに着いたところで、琢磨がフラッグを振り下ろして各車一斉にスタート!
そして琢磨も2人乗用カートに飛び乗って追撃開始!
まるで同乗走行中ということなど忘れさせるような、それでいて乗っている同乗者に恐怖心をなるべく与えないようにしているであろう、とってもスムーズかつ速い走り。
待ちに待ったことでタガが外れ、耐久レースに必死なドライバー陣をホイホイと料理し、会場の視線と声援を独り占めして走ります。
ドライバーは皆自分なりに精一杯の走りで精一杯この瞬間を楽しみ、観戦者は同乗者を乗せて楽しそうに耐久レース参加者を料理していく琢磨の姿を楽しみ、あっという間に30分が経過してチェッカー。
チェッカーはスタート時同様、琢磨の手により各マシンに振り下ろされました。
実のところ私も運よくドライバーとして参加させていただいておりまして、チームの最終走車を務めさせていただけたおかげで琢磨の振るチェッカードフラッグをくぐることができました。
最終コーナーをクリアするとゴールラインに琢磨の姿。
琢磨が左手で私を指差して、右手でチェッカードフラッグを振ってくれています。
思わず琢磨に向かって右手でガッツポーズをしたら、琢磨も左手でガッツポーズを返してくれました。
私のチームの順位は聞かないでください(笑)
とにかく楽しかった!
琢磨の近くを走ることはできなかったけど、琢磨と同じフィールドで走れたということだけで大満足。
私はこの日、この瞬間、この経験を大袈裟でなく一生忘れないでしょう。
TSKart003

さて、耐久レースの表彰式も終わり、日没も近づいてきたところで楽しかったイベントもいよいよ終了の時間が近づいてきました。
ところが最後に琢磨からサプライズプレゼント!!
なんと全日本カート選手権に参戦しているマシンを使用して、琢磨がデモランを行うというではありませんか!
久々に見る琢磨のデモラン。
琢磨はあいかわらずサービス満点で「僕が走るんだからコース脇ギリギリのところまで来てもらって大丈夫!といって回っちゃたら恥ずかしいんだけどね!(笑)」と、ファンがピットロードの中に入って見られるよう配慮したうえで、何周も何周も走りに走り、最後にはホームストレートでUターンして逆走まで披露。
琢磨の走行シーンに飢えている我々ファンにとって、これは何よりの、本当に最高のプレゼントとなりました。
琢磨が閉会のあいさつをするころには陽も西の山々の背に隠れ、辺りは薄暗くなっていました。

余計なことかもしれませんが、一部の紙面やネットニュース等では今回のイベントが雷雨によって中断を余儀なくされたことばかりがクローズアップされて報じられていますが、琢磨とスタッフの心配りは我々の期待を少しも裏切ることなく、けして忘れることのできない素晴らしいイベントとなったことを、私はここに強調しておきたいと思います。
確かに雷雨に見舞われるというハプニングがありはしましたが、ファンにとってはそれも既に楽しい思い出の一部になっているのです。
琢磨クラブ初の参加型イベント「Virgin Atlantic TAKUMA Club Karting」は、間違いなく成功裏に終了したのです。

琢磨とのしばしの別れを惜しみ手を振る我々ファンに対して、スタッフの車で会場を後にする琢磨も何度も何度も手を振り返していました。
このような参加形イベントを企画し、琢磨と触れ合う機会をつくってくれた琢磨とスタッフの方々には本当に感謝、感謝です。
ありがとう琢磨!
私たちは琢磨が必ずF1のフィールドに戻ってきて、今度こそ本当にF1マシンで疾走してくれることを強く信じて待っています!

このイベントを通じてそんな思いをあらためて強くしているところに、琢磨がトロ・ロッソに乗るのではないかというようなニュースも聞こえてきています。
ブログの更新をさぼっていたせいで随分と前の記事となってしまいましたが、そこでも述べたとおり琢磨がホンダから切り離されたところで話題に取り上げられるのは大いに結構です。
また一方、別の報せでは「ホンダは琢磨を大切に思っている」などという話もあり、ホンダの中でも我々ファン側が思っているような考えを持つ派閥が間違いなく存在するのではないかと思わせる情報も出てきています。
確報ではないため、半分は眉に唾をつけて聞く必要があるかもしれませんが、それはまたそれで我々ファンの声が少しずつ届き始めたのではないかと、前向きに考えることもできます。
とにもかくにも今はまず、我々ファンは琢磨の言葉を信じて待つのみ!
あの力のこもった琢磨の目を実際に見た、自分の感覚を信じて待つのみです。

当日の写真は、今回わがままを言ってご同行をお願いした、相互リンクもさせていただいている「SUPER AGURI F1 を応援するブログ」のAuthorであるarizouさんも掲載してくれていますので、そちらも是非にご覧ください。
SUPER AGURI F1 を応援するブログ

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テーマ:スーパーアグリ&琢磨 - ジャンル:車・バイク

琢磨復帰のホンダ関連の話題は障壁にしかなりえない
2008年ももう半分を消化してしまいました。
琢磨ファンでありスーパーアグリF1チームファンである我々は、そのわずか6ヶ月という短い期間の中にいったいどれだけの失意と落胆を経験したでしょう。
更に自分を含めたホンダファンでもある者にとっては「日々此れ悪夢の連続であった」と表現することに躊躇いを感じることもないほどです。
我々がF1のフィールドからスーパーアグリF1チームという夢を奪い取られてより既に2ヶ月が経過しようとしており、同時に琢磨のF1フィールド復帰を渇望する日々も同じだけの期間が経過しようとしています。
スーパーアグリF1チームを喪失してからの期間はこれから先も時を経る以外に道は無いけれど、琢磨F1復帰を待つ期間にピリオドを打つ事に関しては、ファンとしてまだまだ打つ手はある。
カレンダーが7月に替わったところで、自らそうした決意を新たにしているところですが、これに前後するかのように周囲では琢磨復帰に関するニュースがにわかに騒がしくなってきていることを感じている方々も少なくないのではないでしょうか。
もっともそのどれもが本質的な決定打に欠け、大きな期待感を抱けるものではないと個人的には判断しているので、それを個別に列記することはあえて避けさせていただきますが、これらに関してひとつだけ不満を言わせてもらうとすれば、そのどれもがホンダと、いやHRF1と関連付けられた報道である点です。
あくまで個人的な見解であることを前置きしておきますが、琢磨自身そうした報道が成されることを歓迎していないと思われ、そうしたホンダに関連付けて琢磨復帰の可能性が報じられる度に、琢磨個人でおこなっている契約交渉の障壁以外の何ものでもないと考えるからです。
2005年シーズンの終了と同時にホンダを放出された琢磨は、ホンダより提示されたテストドライバーのオファーを「テストドライバーとしての経験は2003年で充分得られたと思う」というコメントを残してキッパリと拒絶しています。
また翌2006年から今シーズンまでは「チームを1から作り上げる」という経験を、ドライバーという立場からドライバーの枠組みを超えて見事な牽引役を成し遂げています。
特にスーパーアグリF1チームで琢磨が果たした役割については、現在F1に参戦しているドライバーの誰でもが成し得ることができるものではなく、時には身の丈を凌駕するミラクルな活躍を披露した琢磨の評価は、国際的に見ても他のトップドライバーと比較して何ら遜色のあるものではありません。
故に、ホンダワークスからの復帰という意味でホンダに関連付けられたニュースであるならばまだしも、聞こえる話は今のHRF1から見ても下位に位置する、または位置するであろうチームに関連する話題ばかりときては何をかいわんやです。
そもそもセカンドチームやらサテライトチームやら、そうした大それた話題の割には、専門誌のみの紙面を賑わせて収束を向かえていくあたり、その影にはまず間違いなくホンダに深く関わる立場の、それも首脳クラスの人物が姑息に情報をリークしていると考えるのが自然ではないかと思っています。
HRF1内部には、チームを牽引したり、纏め上げたり、勝利に導いたりすることはまるで3流然としていても、こと情報操作に関してだけは長けている人物がいるだけに、私の考えもあながち的外れというものでもないのではないかと思っています。
さて、そんなホンダにはアロンソ獲得熱望の話題やら、既に空力レギュレーションが大幅に変更される2009年シーズンに開発をシフトした話題やらが盛んに報じられていますが、こうした話題に触れるたびにホンダファンがどういう感情を持つに至っているかをホンダ自体は考えたことがあるのでしょうか。
いや、それ自体が既に愚問と言って良いのかもしれません。
まずアロンソ獲得に関してですが、現在のルノーのポジションにすら満足していないアロンソ自身が、それに劣る位置に終始甘んじているホンダのオファーを受けるとは到底思えず、おそらくは選択肢にすら含まれていないものと思います。
よってこれもメディアを使って何かをしようとする際の姑息な常套手段であり、求めるところはもっと別のところ。
つまりはここのところまるでやる気が感じられないバトンへの対外的抑圧と、琢磨起用論の封じ込めが目的であると考えて良いと思います。
そして2つ目の2009年シフトですが、そもそも2007年にもポジションを落とすだけ落としたホンダが、RA107に失敗作のレッテルを自ら貼り付けて採った手法ではなかったでしょうか。
個人的には空力的レギュレーションの安定期であった2006年から今季2008年までに、チームの方向性すら見出せず予算と時を無駄に浪費してきたチームに、2009年の大幅なレギュレーション改編に上手く対応することができるとはとても思えません。
仮に奇跡的に出来たとしても所詮それは奇跡であって、踏むのは2004年のBAR時代のように意味もわからず速いことに浮き足立つのがせいぜいであり、永続的にタイトル争いを展開するチームになることなど、けして無いと言わせていただきます。
かつてF1第二期のホンダは、F1を改革する側、それも常にその中心にいました。
第二期末期こそその座をルノーに奪われた感は否めませんが、1リッターあたり1000馬力と言われたターボ時代から、NAマルチシリンダーによるあの「ホンダエンジン無くして勝利はない」とまで言わしめた時代まで、ホンダはまさに寵児であってホンダの起した技術改革を受けるかたちでF1界全体が追随していたと言っても言い過ぎではないと思います。
いわば自らの改革をもって時代をリードしていく側にいたのが、我々が愛すべきホンダであり、ホンダレーシングスピリッツでした。
しかし、今はどうでしょう。
外的な変革を手放しで期待し、もっとも変わらねば成らない自らの体質にはてんで無関心。
まるで悪しき時代の日本のように、外的要因を伴わねば自らを律することすらできず、本来舵を取るべきトップに立つものたちは椅子に踏ん反り返って現実を顧みることなく贅の限りを尽くし、全力で動くときは保身の時のみ。
表現がいささか飛躍し過ぎている点は予めお詫びいたしますが、期待のロス・ブラウンの口から発せられる言葉でさえ、最近では眉に唾つけて聞いていなければならぬ現状。
スーパーアグリF1チームのファンである我々は、ホンダ内部にも、特に現場にはスーパーアグリF1チームに対してその身を削って精一杯の尽力を注いで奮闘してくれたスタッフが数多くいる事実を知っているだけに、そうした揺ぎ無い崇高なスピリッツを持った方々には、心よりお見舞い申し上げる以外にありません。
ここのところ、ことホンダの話になるとどうしても脱線してこうした論調になってしまうのですが、そろそろ話を元に戻しましょう。
ともかく結論から申し上げればそのようなところに琢磨が戻ったとしても存分に闘うことができるとは思えず、ホンダ復帰に関しては悪しき派閥全員の更迭と、栃木研究所を初めとする意ある者たちの意向が風通し良く連携されることが絶対条件。
また、それ以外のHRF1絡みの話題にいたっては金輪際たとえゴシップとしても取り上げていただきたくはありません。
さて琢磨自身がおこなっているであろう契約交渉は、良い方向に進んでいるのでしょうか。
たとえ専門誌であっても報道として聞くのではなく、琢磨自身の口から一日も速く良い発表がなされることを心から願ってやみません。
8月にはファン対象のイベントも企画されていることから、スーパーアグリF1チーム撤退後初めて日本でファンの前に姿を見せてくれることになる訳ですが、その頃には将来に関する明るい展望を耳にすることができることを信じて、今はファンとしてできることを精一杯やっていくしかありません。
仕事が多忙を極めても、昨年の今頃であればスーパーアグリF1チームの戦績とともに一喜一憂し、希望と勇気をもらって共に乗り切る術を得ることができていましたが、今となってはそれも奪われ、琢磨だけが唯一のモチベーションであり、唯一の希望なのですから。

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琢磨F1復帰の第一歩は、ホンダとの決別から
カナダGPが終了してから早4日が経過してしまいました。
思い出にばかり浸るのも我ながらいかがなものかとも思いますが、それでも振り返れば昨年のカナダGP終了後は興奮のあまり寝ることすら忘れ、一睡もしなかったばかりかかなりのハイテンションのまま勤務先へと向かったものでした。
荒れた展開の末に手に入れた6位というポジションではありましたが、琢磨自らが機転を大いに働かせたピット戦略、それを裏切らずに一糸乱れぬピット作業をやり遂げたスタッフ。
そしてクルー達の後押しを受けてフェラーリ、トヨタ、マクラーレンを次々とオーバーテイクした結果手にした3ポイントは、けして棚ボタではない、世界中に胸を張ることのできる素晴らしい記録として、今も我々ファンの記憶の中にいささかの色褪せを見せることもなく残されています。
今年のカナダGPも、まるで恒例行事のようにセイフティカーが導入され、その際にピット作業を終えたフェラーリ・ライコネンがピット出口のレッドシグナルに従って停止したところに、同じく一呼吸遅れてピットから飛び出したマクラーレン・ハミルトン、ウィリアムズ・ロズベルグが勢い余って追突するという、前代未聞のアクシデントとあいまって相変わらずの荒れた展開を見せました。
そしてそんな展開を制してみせたのは、昨年背筋の凍るような大クラッシュを演じたBMW・クビサでした。
これに同じくハイドフェルドが続いて、BMWとしてはワークスチームとなってからの初優勝にして初ワン・ツーフィニッシュ。
もちろんクビサにとっても初優勝ということで、初もの尽くしの歓喜に沸いて幕を閉じたのでした。
確かに今回カナダGPをBMWが制したとはいえ、ハミルトンのチョンボもあって実力でフェラーリ、マクラーレン陣営を切り崩したわけではないだけに、単純にシーズンの勢力図がこれをもって塗り替えられるほどに甘い世界ではないことは百も承知です。
しかしながら「日本勢」であるホンダ、トヨタが制するよりも、今回のクビサ、BMWが制したことを喜ぶ自分が確かにここに存在します。
つまるところその理由は、長年F1を見続けてきたファン目線から見ても、今回のクビサとBMWによるグランプリ初優勝は、昨年の琢磨とスーパーアグリF1チームにも似た、様々な有利に働いた不確定要素を差し引いて考えても、賞賛に値する優勝であったと自然に認めることができるからに他なりません。
BMWがウィリアムズと決別してザウバーチームを買収し、BMWザウバーという純ワークスチームとして活動を開始してからその後、けして欲を出すことなく毎年身の丈をわきまえた目標を設定し、公言してきました。
活動開始初年度となった2006年は入賞を目標として定め、翌年は表彰台を、そして今年は初優勝を獲得することをシーズンの最終目標とし、その立ち位置を見失わない堅実なプログラムを確実に達成していく様は、まさに見事と言うほかありません。
毎年社長がしゃしゃり出て来ては「優勝・優勝」と声高に吠えるだけの、我が身すら見る術を知らないどこぞのチームとはえらい違いです。
F1に参戦する意義と最終目標を、純粋にタイトル獲得と定めて、中長期的プログラムを実行し完終していくことは傍で見るほどに容易いものではけしてありえず、ワークスである以上はメーカー本体からレースチームの末端に至るまで、確実かつ継続的にコントロールされ、スタッフの意識までもが統一されていなければ、初期目標すら達成することは不可能でしょう。
それをわずか2年と少々で達成したからには、チームのどこを切っても、もちろん感覚的な話ですが同じベクトルが見えるはずで、そのことひとつを取って見てもBMWが強固な纏まりを得た純粋なレースチームであることがうかがい知れます。
各チームは次戦フランスGPまでのインターバルを利用したバルセロナ合同テストに臨んでいます。
その中で気になる話題といえば、スーパーアグリF1チームの撤退によって琢磨同様にレギュラーシートを失うかたちとなったアンソニー・デビッドソンがHRF1からテストに参加していることです。
一部には何故に琢磨では無いのかという声も聞こえてきますが、その気持ちは琢磨ファンとして充分に理解できます。
しかしながら個人的には、こと今に至っては琢磨よりもHRF1による拘束力が強い立場にあるアンソニーを気の毒に思う気持ちの方が強いと言わざるをえません。
アンソニーにしてみれば、スーパーアグリF1チームのシートを得た経過から見ても、HRF1の意向を強く受けての措置でもあったことから、HRF1からテストに参加できることは幸運とも言えるのかもしれません。
しかし、そのコネクションは見方を変えれば周囲にホンダありきのイメージを色濃く顕すことにもつながり、他チームとの交渉を著しく阻害する要因にもなりかねません。
今回のバルセロナ合同テストにおいて、HRF1のテストシートに琢磨が収まることができなかったことは、ポジティブに考えれば琢磨がもはやホンダやHRF1の拘束下になく、フリーな立場で他チームと交渉できることを他チームに対して顕す一要素とも成りえます。
もっとも琢磨にもアンソニーと同様のオファーがあった可能性も完全には否定できませんが、そもそもレースシートを前提としたテスト参加という条件でない以上、テストドライバーを引き受けることはしないと琢磨自身が明言している以上、元祖超ポジティブシンキングの琢磨も同様のことを考えているはず。
先に述べたように、BMWとは悪い意味で対照的に、ロス・ブラウンの名声と手腕に頼り切って、まるで方向性の定まらない3流に成り下がったワークスチームの軍門に下るよりも、セカンドクラスチームの門から順に根気良く叩いて歩いた方が、琢磨自身納得のいく結果を導き出せるというもの。
そしてそうしたチームからの復帰が叶えば、琢磨ほどの実力があれば思う存分に琢磨らしいレースをしていくことができることは明白です。
ようするに、もはや琢磨F1シーン復帰の第一歩は、ホンダとの決別から始まると言って良いでしょう。
今はとにかく焦らず、例えればF1を目指すために一見遠回りに見えても最短距離を突き進み、英国F3を制覇したあの頃のように、琢磨流交渉プログラムをもって納得のいくチームからF1シーンに復帰してもらいたいと思います。
そして我々ファンは、とにかく今できることを何でもやって、微力ながら琢磨復帰の後押しをしていくのみです。

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ホンダファンとしての自分が過去になるとき
唐突ではありますが、あくまでも個人的主観に基づく内容であることをご了承いただきたいと思います。
琢磨がモナコに居を構えているということもあって、モナコGPのパドック内で琢磨が近況報告をおこなった、またメディアからの取材に応じた件については、前回お伝えしたとおりです。
そしてその琢磨の会見や取材が実現した背景についても、既にメディアが報じていますのでご存知の方も多いこととは思いますが、今回どうしてもひとつ触れておきたいのは、その点についてです。
時系列はやや遡って、運命の日でもあった5月6日。
亜久里代表(当時)がスーパーアグリF1チーム撤退の発表を行ったと同時に、琢磨にFIAから発給されていたF1に関するパスはその効力を失いました。
要するにその日を境にFIAから見れば琢磨は既にF1関係者の立場になく、パドック内に琢磨が立ち入るためにはF1に参画している何れかのチーム、または企業からの申請を受けてFIAから発給されたパスが当然に必要になります。
それでも琢磨の会見等がパドック内でおこなわれたということは、言うに及ばず琢磨が前述のパスを携帯していたことを意味しているわけです。
今回取り上げたいのはそのパスの出所。
つまり、琢磨のためのパス発給をFIAに申請したのは誰か?ということです。
すでに広く知られていることなので結論から先に申し上げれば、琢磨用のパス発給を申請した企業はブリヂストンでした。
また、会見等がおこなわれた場所もブリヂストンが提供したモーターホーム内であり、そのことからもこれらのことはブリヂストンの好意によって実現したものと言って良いと思います。
さて、それのどこが問題なのかということですが、まず認識しておかねばならないのは琢磨は言わずと知れたホンダのサポートドライバーであると言うことです。
未だその関係が途絶したものでないことは、琢磨自身が会見の席上で「すべてのパーソナルスポンサーがこれまでどおりのサポートを継続してくれることになった」と報告していることからも明らかで、会見の際に着用していた特別仕様のシャツにはしっかりとホンダのエンブレムが刻まれていました。
これまでの各社の琢磨に対するサポート内容と関係の比率などを勘案すれば、パスの発給は本来ホンダから成されるものと思うのが自然の成り行きですが、ホンダからの発給で無いことが明らかになった今、その事実に対して疑問符がつくのもまた当然といえます。
重ねて申し上げますが、実際に琢磨が携帯していたパスはブリヂストンが用意したものであって、会見の場としてモーターホームを提供したのも同社です。
この件について2つの視点から考えてみました。
まずはホンダの立場から見た場合についてです。
ホンダに関しては今更私などが言うまでもなく、スーパーアグリF1チーム撤退の一連の動向を鑑みて、特にファンからはまったくと言って良いほど支持を得られておらず、今となってはメディアも同様の論調であると見て間違いないところです。
特に先のホンダ福井威夫社長による会見での発言は、悪い意味でファンとメディアに波紋を生み出すに至っており、その発言内容のうち「ホンダはとにかく勝てるドライバーを起用する」という言葉に続けて、「琢磨がバリチェロに勝るとは言えない」、また「日本人だからということで起用したりはしない」と述べたことは、ファンからの強い反感を駆う結果を招いています。
何故なら福井威夫社長の発言はその裏を返せば「バリチェロに劣る琢磨では勝てないから日本人とはいえ起用しない」と明言したの同じで、スーパーアグリF1チーム撤退に関するファンの心に蟠るホンダへの不信感を増長し、2005年に琢磨が受けたホンダからの仕打ちに対する記憶と感情までをも呼び起こすことになりました。
これらは、ホンダの長たる立場を忘れた、ファンに対して礼を欠いた非常に無神経な発言内容であったと言わざるをえません。
かくいう私も同発言を大変不快に思ったひとりです。
世界を股に掛けるホンダという大企業にとって見れば、ブラジル出身のドライバーであるバリチェロを擁護することは、それすなわち巨大な南米市場に数多入るユーザーを安心させ、無闇に刺激しないよう計らわねばならぬ事も理解できないではありません。
しかしです。
ホンダレーシングスピリッツをともすればホンダワークスのドライバーやスタッフよりも具現化してきた琢磨を無能呼ばわりしたことと、南米マーケットに配慮し確保することとは何ら関連性も因果関係もあるものではなく、福井威夫社長自らによるその言い様に、ホンダの本音を垣間見た気がしました。
百歩譲って福井威夫社長のそれがそこまで深く考えての発言ではなかったとしても、南米のファンや市場には配慮していながら、日本のファンや市場には配慮のカケラも無いでは、無神経と言われても仕方のないことと考えます。
話が少々逸れましたが、つまりは現時点においてホンダは琢磨と一定の距離を置くことで、少なくとも琢磨の今期中の起用は無いということを周囲にアピールする目的があったものと思われます。
会見を琢磨から言い出したにせよ、メディアから要求したにせよ、何れもホンダを避けては通れない以上、ホンダからブリヂストンに依頼してのパス発給であった、というのが真相であるように思います。
これら腰の引けたホンダの対応には開いた口が塞がりませんが、言わずもがなバリチェロの起用を強く望んでいるHRF1のニック・フライも、これら一連の動向に深く関与しているであろうことも申し添えておきたいと思います。
さて、次に琢磨の立場から見た場合についてです。
前述のホンダの対応を見てお解かりのとおり、琢磨が本件についてその背景について知らぬはずはなく、当然にそれら経緯を考慮しての会見となったであろうことは想像に難くありません。
その証と言えるかは皆さんの判断に委ねますが、スーパーアグリF1チーム撤退直後の琢磨自身によるF1復帰に関しての発言では、必ずと言ってよいほど「ホンダから復帰できることがベストですが・・・」という前置きの後に、他チーム移籍の可能性について否定しない態度をとり続けていました。
しかし、モナコGP時の会見において「ホンダ以外のチームも視野に入れているか」との質問に対して琢磨は「ですね」とあっさりとその可能性を肯定しています。
もちろんその後で「これまでお世話になって、ホンダの一員としてやってきたので、現在でも一緒に仕事をしていきたいという気持ちが強い」と付け加えていますが、そのトーンは随分と小さなものになってきたと思うのです。
また別の取材に対しては「ホンダは僕との関係を続けたいという感触を受けていますが、必ずしもF1プロジェクトに関連したものでなくてもよいようです」とも明かしており、琢磨自身ホンダとのF1復帰交渉が必ずしも明るい材料とはなりえていないことを自覚しているように思えてなりません。
現時点においてF1以外のカテゴリーからの復帰を望んでいない琢磨にとって、ホンダからの提案は容認できるものではないと言え、既にホンダ以外のチームからのF1復帰に賭ける方向に労力のウェイトがシフトしているものと個人的には考えています。
実際に琢磨は会見終了後、パドック内で各チームの多くの関係者と接触したとの報道もあり、すべてを鵜呑みにはできないものの、F1復帰の可能性を誰はばかることなく模索しはじめているのは間違いないと言えます。
これら考えに至ったとき、私の中でホンダに対する想いがまたひとつプツリと音を立てて切れたような気がしました。
まだ完全に切れてしまったとまでは言いませんが、スーパーアグリF1チーム撤退決定以前から、ホンダのちぐはぐな対応を見るにつけ切れ始めていた想いが、徐々に、しかし確実に切れていっているのです。
それを再び元通りに近い形で繋ぎ合わせるのは、いや繋ぎ留めるのは「ホンダが正ドライバーを前提に琢磨起用を決定する」以外にないと思っています。
これまでの琢磨やスーパーアグリF1チームに対するホンダのサポートについて、感謝の念が無いわけではないのです。
しかしその事実を知っていてなお、前述の琢磨復帰に関する決定が成就せず、琢磨が他チームに移籍したり、2009年以降のホンダからの正ドライバー復帰の望みが潰えたときに、私個人の25年にも及ぶファンとしての想いの糸はすべて断ち切れ、ホンダファンとしての私は過去のものとなるのかもしれません。
少なくともホンダの今の対応を見ている限りにおいては・・・そう思うのです。


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琢磨にいつまでも悔しい顔をさせておくわけにはいかない
シーズン中最も華やかであるはずのモナコGPを観ているにもかかわらず、やはり物足りなさを感じながら事の運びに身を任せていた方も多いのではないでしょうか。
スタート前から濡れている路面、シグナルブラックアウト直後から勢いを増した雨、セイフティカーの出動などによる荒れた展開に興味を見出している自分。
モニターの向こう側で激闘を繰り広げるマシン群を見ても、ふと思うことと言えば「この中に琢磨がいたら、スーパーアグリF1チームがいたら、どんな闘い方を見せてくれただろう」というような得られるわけもない想像事ばかり。
前戦トルコGPの時にも痛く感じていた虚無感。
その虚無感がGPを重ねる毎に深く大きくなるという現実。
今回のモナコGPは、これからどうやってF1GPを観ていけばよいのかという、回答の見えない思考の輪廻に見事に飲み込まれている自分に気付かされるグランプリとなりました。
地上波放送において、今回モナコに居を構える琢磨への片山右京氏による単独インタビューが放映されました。
自らもF1ドライバーであった片山右京氏には、琢磨が現在置かれた状況からどんな心境で自分のインタビューに応じているかが痛いほど解るのでしょう。
事前に局側から用意されていた質問であったことは容易に想像がつきますが、慎重に言葉を選びつつ琢磨に言葉を投げかけていたのがとても印象的でした。
またその質問に対して、ひとつひとつ一定の間を置いて真摯に応じていく琢磨。
その表情からはいつもの柔和な表情が消え失せ、「このまま終わるつもりはまったく無い」と語気を強めるその口元には悔しさが滲みでていました。
しかしそれとは対照的に眼光にはいささかの陰りも曇りもなく、F1での正ドライバーにこだわり続ける強い意志を感じ取ることができたインタビューでもありました。
母国グランプリである日本GPに次いで、このモナコGPが自らが現在居を構える地でおこなわれる重要なグランプリとして位置づけられていることは、琢磨自身「マイホーム・グランプリ」と称していたことからもうかがい知ることができます。
故にその歩いてでもアクセス可能なまさに眼前でおこなわれるグランプリに、急転直下参加する側から観る側に変わってしまった琢磨の心中たるや、ファンでなくとも察して余りあるところです。
グランプリ開催に向けて徐々に出来上がっていくコース、フリー走行が始まれば街中に響き渡るエグゾーストノート、集まる観衆と他のグランプリとは比べ物にならないモナコ独特の異常なまでの華やかさが増幅していくに従い、琢磨の心中は琢磨にしか解り得ないやりきれぬ思いに苛まれ、行き場をを失っていたに違いないのです。
そんな状態であっても、パドックに姿を見せて先に述べたテレビ以外の取材にも真摯に応じる様は、これまでスーパーアグリF1チームと自分にフォーカスしてくれたメディアに対する琢磨ならではの筋の通し方であり、ファンに対する謝意の顕し方であったのだと思います。
そして「気持ちはとにかくF1にカムバック。きちっとした形でF1に乗る。それが最大の目標」とその行動すらもバネへと転化するべく明確な、かつ力強いメッセージを発しています。
これら一連の行動を通して、私はこの佐藤琢磨という男には落ち込むとか、くじけるとか、諦めるとかいうネガティブな感覚を存在しないのだということを、またあえて逃げずに現実を見つめようとする様に、常にポジティブな思考の上に自身を成り立たせているのだということを再認識させられました。
実際に会見において琢磨は、2002年のジョーダンから2005年のBAR在籍時代を振り返って、当時の自分がどんなドライバーであったかを現在の自分と比較して冷静に分析して見せ、その上で今の自分について「不安を感じたり怖気づく気持ちは全然ない。むしろやさせてみてくれと言いたい」と自己アピールも忘れない。
しかしいかにも琢磨らしいのは、同じ席上において「レースができない残念さは本当はたいしたことなくて、チームが無くなっちゃったことのほうが悔しいし悲しい。自分が走れないどころの騒ぎじゃなく、100人の素晴らしいメンバーのこと思うと、本当にいてもたっても居られない気持ちになるんです」と、自分の事そっちのけで元スーパーアグリF1チームスタッフの心配をしてみたりする。
そうした自分に対して厳しくポジティブでありながら、けして腐らず、驕り高ぶらない琢磨の人格が、亜久里代表が貫き通した「チーム一丸」のポリシーをドライバーという立場を超えて受け止め、体現することを可能にし、強烈な牽引力を発揮してきたからこそ、スーパーアグリF1チームの他のチームに真似のできない「一体感」を生み出してきたのだと、今更ながらに納得してしまいます。
つい先ほど、その会見時の画像に触れる機会を得ましたが、そこにはパーソナルスポンサーロゴの配された特別仕様シャツに身を包んだ琢磨の姿がありました。
そのシャツは琢磨のパーソナルスポンサーが、これまで同様にサポートを継続してくれるという証でもあるわけですが、その襟元には『THANK YOU SAF1』のロゴが輝いていました。
モナコGPに集まった観衆に琢磨がその背中を見せると、その中からは自然と一際大きな歓声と拍手が沸き起こったと言います。
琢磨の想いは、イコール、我々ファンの想い。
「チームの一員としてやってきた僕が、思い切り突き進むことがみんなに対するマナーなんです」と琢磨は言う。
そしてその琢磨は再びF1のフィールドに復帰できるよう声を上げ、その想いが成就できるよう後押しすることが、我々ファンの琢磨に対するマナーだと考えますし、最終的には常にファンと共にあったスーパーアグリF1チームへの感謝の念を表す最高のカタチにも通じるものだと思うのです。
「今はもう“待ってて”としか言えないです」とは琢磨からのファンに対するメッセージ。
しかし、冒頭に触れたような悔しさの滲み出た表情を、そういつまでも琢磨にさせておくわけにはまいりません。
我々にはまだ、琢磨のためにできることが山ほどあるはずなのです。

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